下町ロケット 著者:池井戸 潤
2011年11月7日
下町ロケット
またもや、池井戸 潤氏の作品である。別に彼の営業目的ではないので、その点はご理解いただきたい。
ただ、彼の作品は私の興味のある工業分野のものがあるので、ついつい手を取ってしまうのだ。
さて、本題に入ろう。
以前読んだ「鉄の骨」はストーリーは惹きつけられて面白かったものの、表現力(特に人を動かすイメージの表現)が物足りなくて、もうひとつ本に入り込めないまま読み終わった印象があったこともあり、直木賞をとったと聞いても食指が伸びなかったのだが、たまたま妹が買って読んでたのを貸してもらったのである。
「鉄の骨」の頃とは違い読みやすくスッキリとした文章。特に独白部分は、その人の表情がうかがい知れるくらい生き生きとした表現力がすばらしい。それとあいまって、次々に起こる事件やトラブルがとても現実的で身近なので、夢中になってしまった。
題材がロケット部品とはいえ、題材を変えれば製造業の中小企業ならいつでもおこりえるトラブルで、乗り越えて欲しいと願いながら読んでしまう。
主人公・佃社長の夢がストーリーの根幹だが、そこに話が持って行かれても全く違和感がなく逆に応援したくなる気持ちが湧く作品である。
若い社員の気持ちを掌握しきれないもどかしさ、業績に一喜一憂するストレス、家に帰れば難しいお年頃の娘にイライラさせられて、なんだかどこかの社長と同じだなと(うちの旦那かあせあせ)妙に共感したのも面白かった原因の1つとしてあるだろう。
たとえ、ロケットに興味がなくとも、ぜひおすすめしたい1冊である。
空飛ぶタイヤ 著者:池井戸 潤
2011年11月6日
空飛ぶタイヤ
企業小説ってなんかノンフィクション系の難しい話っていうイメージがあるのであるが、そこはやっぱり直木賞受賞者だけあってすらすら読ませるところが素晴らしい。
上下刊とあって結構長いんだけど、一気に読めるのだ。
何が良いかといえば、一言で言うなれば、”勧善懲悪のすがすがしさ”なのである。
この主人公である運送会社(中小企業)の赤松社長と大企業ホープグループの争い。
善が悪を懲らしめることが話の主軸ではあるが、その中に、様々な単純ではないたくさんの人の感情が入り混ざってて、複雑なのだが、そこがすごくリアルで共感できるところなのだ。
大企業と中小企業。
中小企業と銀行。
会社と取引先。
会社とマスコミ。
被害者と加害者と警察。
経営者と従業員。
親と子。
先生と保護者。
こういったそのすべての問題に主人公の赤松社長が関わり、これまでかというほど、どん底の道に進んでいくのである。
基本、不器用だけど、一生懸命でそれが共感して応援したくなる理由なんだろう。
結末が近くなると涙腺が非常にもろくなってくる。
社会って何かと理不尽なことが多い。
でも、それに立ち向かっている人がいて、反対にあきらめるひともいるのだ。
いろんな人がいるけど、誰しも自分が考えるようにうまくはいかないで苦しんでいる。
度重なる不幸の連続で、それこそ負のスパイラルの最中の赤松社長の無言の叫び。
ここから、どう乗り越えていくかが、この本の面白さなのである。
フィクションとノンフィクション(三菱自動車工業のリコール隠し事件を題材)
そうかあ、企業小説って小説だけど、現実にとっても近い。
だから、日常的だし、共感しやすい、そんな魅力があるんだなあと納得。
最後はすかっとする泣ける小説を読みたい人におすすめの作品なのである。
ちなみにドラマもあるので、活字が苦手な方にはそちらもおすすめだ。
2011年10月29日
アリエルは皆さんからのおすすめ本情報を募集しているのだ!!
もし「これは!!」という本があったら、教えてくれー!!